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News Report No.1
相続が争族に!そうならないための遺言書、
あなたはどのように作成しますか?
−相続税対策としての遺言書作成(遺産相続の準備)−

2004年8月6日

1.未分割のまま相続税の申告期限が!

 相続税の申告期限は、簡単にいうと相続がはじまった日から10ヵ月後です。この申告期限までに相続財産を相続人で分けなければなりません。ここで遺産相続についての遺産分割協議が整わず、未分割の状態で申告するときには、余分な相続税を覚悟しなければならないでしょう。なぜなら、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」などを適用することができないからです。
 小規模宅地等の特例は、相続税の評価額が最高8割引となるため、たとえば宅地の評価額が10億円のところが2億円に減額される規定です。配偶者の税額軽減は、配偶者の相続税がゼロ(0)になる相続税額の半額セールみたいなものです。こんなよいもの、使わないで申告するのは実にもったいない話です。もっとも、後で分割協議がまとまった場合には、「更正の請求」といって申告をやり直すことができる場合もあります。しかし、後述する物納を考えた場合には、未分割状態では認められないため納税に大きな問題が生じます。いずれにしても、相続人間で揉めないことが一番なのです。

2.二種類の相続税申告書?

 相続人間で揉めて二組に分かれてしまったとしたら、相続税申告書の署名押印はどうするのでしょうか。通常ならば、一つの申告書に仲良く全員で署名押印して提出することになります。しかし、二組に分かれた場合には、双方が別々の申告書を作成し申告します。さらに、申告後に税務調査があれば、それぞれの組に分けて別々の調査となるのです。片方に申告のある財産がもう片方の申告書になければ、当然、修正申告することになります。税務署の言いなりにはなりたくないのですが、遺産相続が財産争いに発展すると、残念ながら税理士にできることは限られてくるのです。

3.こんな遺言書はいりません!

 無いほうがマシ?な遺言書の典型的な例が、共有です。たとえば、「この土地建物を2分の1ずつ兄弟に相続させる」といった遺言書があったとします。もちろん、兄弟仲良く半分ずつという願いから遺言書を作成したのでしょう。しかし、実際に相続が発生して、兄弟で意見が合わないなんて事になったらどうしますか。兄は「両親の大切な家を守っていきたい」と考え、弟の方は奥さんと相談した結果「売却してなんとかお金に換えて家計の足しに」なんていう話はよくあるのです。残念ながら、この場合には兄の了解なしには、弟が単独で家を売却することはできません。
 このことは相続税の納税にも問題が生じてきます。たとえば、物納です。物納は、相続税を金銭や分割払いで支払うことができない場合に、不動産など物で納める方法です。この場合には共有持分の一部の物納は認められません。
 相続税が多額になる不動産オーナーの方が遺言書を作る場合には、納税方法まで検討して作成することが必要なのです。遺産相続争いのトラブル回避だけでは役に立ちません。

4.公正証書遺言がお勧めです

 民法の規定する遺言の方式には、二つあります。普通方式遺言と特別方式遺言です。そのうち一般的なものは普通方式遺言で、(1)自筆証書遺言、(2)公正証書遺言、(3)秘密証書遺言の三つとなります。
 この中で、作成自体に費用がかからないのは(1)の自筆証書遺言です。誰にも知られずに自分ひとりで手軽に作成できるのです。しかし、遺言者本人が保管するため、偽造される危険性があります。そして、代筆やワープロで書いたもの、氏名が全部きちんと書かれていないもの、押印のないもの、日付が○年○月○日まできちんと書かれていないもの、訂正印のないものなどなど手軽な反面、これらすべてに注意して作成しなければなりません。なぜなら、注意しないで作成すると、方式違反や内容不明で無効になる可能性があるからです。したがって、確実性に欠けるためお勧めできないのです。そこで、遺言書が無効になっては何にもならないということで、弁護士等の法律の専門家に依頼すれば、作成費用がかかることになります。
 そこで、どうせお金をかけるのなら(2)の公正証書遺言はいかがでしょうか。公証人が公正証書として遺言書を作成し、公証人役場に保管してくれます。たしかに、遺言の存在を秘密にできないといったデメリットもあります。しかし、メリットがそれを大きく上回ります。それは、何といっても遺言書が無効になる可能性がほとんどないことです。これが一番大きいメリットでしょう。自分ひとりで作成する自筆証書遺言とは違って、法律のプロの公証人が強力にバックアップしてくれます。大切な財産を考えると、費用も決して高くはありません。また、保管費用が節約できるというおまけ付きです。

5.遺言執行者はどうしますか?

 遺言執行者は、遺言書の作成にあたって決めておくことをお勧めします。遺言執行者はどんなことをするのでしょうか。それは、遺言書の内容を相続人に知らせたり、預貯金や証券会社の取引口座を解約したり、不動産の相続登記をしたりといった手続きを単独でできるため、先頭に立ってこれらの手続きを行います。具体的には、銀行や証券会社へ行って窓口で手続きをする、司法書士に登記手続きを依頼するなどの作業です。遺言執行者は、未成年や破産者はなれません。ということは、それ以外の人なら誰でも構わないということです。たとえば、相続人がなってもよいのです。実際、最初から弁護士に依頼しなければならないようなトラブルがある場合を除いては、ご長男などでも十分に遺言執行者になれると思います。

6.遺言信託

 遺言執行を専門に行っている法人に、信託銀行があります。相続税の申告となれば税理士を紹介し、相続登記となれば司法書士を紹介してくれます。ワンストップで楽チンです。そして、実際に遺留分減殺請求などのトラブルが発生した場合には、もちろん弁護士を紹介してくれます。ただし、残念なことにこれら外部の専門家の費用は、遺言執行費用には含まれていないようです。それにしては、遺言執行費用は半端じゃありません。ごく簡単に説明すると、一般に信託銀行の遺言執行費用はプラスの財産だけをもとに0.5%〜2%の割合で計算します。仮に、借入金等のマイナスの財産が多く、相続税の対象となる課税財産がそれ程多くない人であっても、借入金等のない人と同様に計算されるようです。その結果、弁護士に依頼するようなトラブルが何もなかったとしても、多額の不動産オーナーの相続の場合には何百万円もの遺言執行費用が発生!?新車が買えちゃいます。

7.遺言書作成前にやらなければならないこと

「ところで、ご自分の相続税がいったいいくらになるかご存知でしょうか?」
 相続税が心配な不動産オーナーの方にとって、最初にしなければならないことは現状分析です。つまり、相続税がいったいどの位かかり納税できるのかどうかということを、まず確認する必要があります。その上で、分割プランを検討していくことになります。そして、最後に遺言書作成です。もちろん、その過程で戸籍謄本等による相続人の確認や遺留分の侵害額の計算をしなければなりません。後で、遺留分減殺請求があった場合にも大丈夫なように、課税関係を含めて準備が必要です。

8.遺言書のメンテナンスも忘れずに!

 資産税を専門とする税理士 次の特集2「相続税申告に際しての遺産分割の注意点」を参照 が考える遺言書作成のコンサルティングの一部をご紹介してきました。最後に、遺言書を作成した後のことについて少し触れます。
 公証人役場で公正証書遺言を作成して一件落着。しかし、相続はいつ起こるか誰にもわかりません。たとえば、地価の変動が何年も続いた場合や、途中で不動産を売却したときには遺言を見直す必要が生じてきます。また、大きな税制改正があるかも知れません。そのようなときには、直したいところだけ遺言をやり直せば、費用も抑えることができます。具体的なチェック方法としては、次のものが考えられます。
(1) 毎年8月に路線価が公表されるつど相続税を再計算
(2) 不動産の購入や売却があった場合に相続税を再計算
(3) 大きな税制改正があれば、また再計算
 不動産オーナーの方には、大切な財産を守るためにも、これらの定期健診も併せてお勧めいたします。

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